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書名

地域保健の原点を探る ―戦後日本の事例から学ぶプライマリヘルスケア

筆頭著者

中村安秀・編著(甲南女子大学教授)

その他著者等

石川 信克,佐藤 寛,大石 和代,坂本真理子,小川寿美子,當山 紀子

出版社名

杏林書院

ISBNコード

ISBN978-4-7644-0538-7

発行年

2018年7月

判型 / 頁数

A5判 / 192頁

分類

社会医学系/衛生・公衆衛生

価格

定価2,640円(本体2,400円 税10%)

内容

1978年,WHOによってアルマ・アタ宣言が採択され,プライマリヘルスケアという理念のもと,「健康」が基本的人権と位置づけられました.
本書は,戦後日本に焦点をあてて,当時死因の大半を占めていた結核への対策,衛生や効率を考慮し生活に取り入れた生活改良普及員,自宅分娩が当たり前だった頃の開業助産婦,全戸訪問によってだれひとり取り残さなかった開拓保健婦,沖縄独自の介輔,赤ちゃんの死亡率をゼロにした母子保健の歴史等を紹介しました.プライマリヘルスケアの意味を直感的に感じ取ることができる1冊です.
本書が,日本の未来,途上国での応用を考える羅針盤となれば幸いです.

目次

第1章 プライマリヘルスケアとは何か
 1.プライマリヘルスケアとは何か
 2.戦後日本の公衆衛生
 3.プライマリヘルスケアからみた戦後日本の地域保健活動
 4.温故知新-なぜ過去との対話が必要なのか-

第2章 戦後日本における結核対策
 1.日本における結核
 2.結核対策における保健師の役割
 3.結核予防婦人会の創設と展開-住民参加-
 4.患者同盟と朝日訴訟-当事者参加-

第3章 生活改良普及員による健康改善
 1.戦後日本の農村
 2.農村民主化と農業改良普及制度
 3.農家女性労働の軽減-かまど改善-
 4.栄養改善と料理教室
 5.環境衛生-簡易水道,立ち流し,便所の普及-
 6.農繁期の健康対策-共同炊事,共同保育-
 7.家族計画講習会
 8.生活習慣の改善努力と快適な睡眠
 9.広範囲への普及と行政とのシナジー-相乗効果-

第4章 長崎県離島の開業助産婦
 1.開業助産婦とは
 2.長崎県離島の開業助産婦
 コラム 助産技術向上のために
 コラム 開業助産婦の報酬と経済状況
 コラム 嘱託医との連携

第5章 開拓保健婦の足跡
 1.開拓保健婦制度とは
 2.開拓保健婦はどんな存在だったのか
 3.開拓保健婦が行った実態把握
 コラム 農夫症とは
 4.開拓保健婦が取り組んだ生活改善
 5.開拓保健婦の足跡から学ぶもの

第6章 戦後沖縄の地域保健-人材確保と定着化をめざして-
 1.第1期:戦後の保健医療事情とUSCARの取り組み
 2.第2期:日本復帰後の特別措置による諸制度の存続
 コラム 「公看魂」とは何か
 3.第3期:市町村行政主導期の地域保健法のもとで
 4.沖縄の経験の現代的意義
 5.偶然か必然か-USCARの志-
 6.コミュニティ変容への対応

第7章 戦後日本における母子保健
 1.戦後から現代における乳児と妊産婦死亡率の現状
 2.母子保健水準向上への取り組み
 コラム 母子健康手帳を多くの国で活用する

第8章 温故知新-過去と対話し未来を開拓する-
 1.戦後日本の保健医療経験を途上国に応用する
 2.改善経験を途上国に応用する
 3.日本の保健医療の軌跡は格差社会への対策につながるのか
 4.過去と対話し,未来を拓く