書名 |
研修医のための リスクマネジメントの鉄則 ―日常臨床でトラブルをどう防ぐのか? |
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筆頭著者 |
田中まゆみ・著 |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-260-00439-8 |
発行年 |
2012年4月 |
判型 / 頁数 |
A5判 / 168頁 |
分類 |
臨床医学系/レジデント |
価格 |
定価2,750円(本体2,500円 税10%) |
医療訴訟などの医療紛争は日本でもめずらしくはなくなった。しかし、そのような事故をどう予防し、いざ事故が起こった際にどう対応するかについては、十分な教育が行われているとはいいがたい。本書は、まだ臨床経験の乏しい研修医のために、医療現場におけるリスクマネジメントの基本をわかりやすく記したもの。日米の問題症例を紹介しつつ、明日から役立つ具体的なアドバイスを伝える研修医必読の1冊。
序
第1章 医師に求められるリスクマネジメント
受診は,「危険を承知で検査や治療を受けること」でもあることを患者に説明しよう
日本固有の医療風土-パターナリズムと医療側のおごり
なぜ患者は「裏切られた」と感じるのか?
-医療側・ジャーナリズム・患者による楽観主義の醸成
医療技術の進歩が,患者に過大な期待を抱かせている
医師が行うべきリスクマネジメントの基本事項
医事紛争の伏線は,小さな行き違いや不信感の積み重ねにある
医療は準委任契約
医療者の法的義務
医事紛争→判決確定までの流れ
第2章 リスクマネジメントの基本としてのインフォームド・コンセントの手順
いつ,何を,どう説明するか?
医師の裁量権より患者の自己決定権が優先されねばならない
患者の判断力を疑ったら,HDS-RかMMSEを施行する
患者に判断力がない場合,医療代理人をどう選定するか?
「患者の意思の最善の推量」をするのが医療代理人
癌の告知を行う際のポイント-検査前に告知の意向を尋ねること
終末期医療におけるインフォームド・コンセントとは
第3章 リスクマネジメントのABCD
A:Anticipate(予見する)
B:Behave(態度を慎む)
C:Communicate(よく話し合う)
D:Document(記録する)
第4章 検証-「リスクマネジメントのABCD」でケースをみる
医療事故-それは誰にでも起こりうる;H研修医の場合
I 刑事訴訟への対処:「業務上過失致死」の事実認定
II 民事訴訟への対処:「不法行為」(過失責任)」を問いたいと家族が考えた理由
III 根本原因分析
IV 再発防止策
第5章 ケースで理解するリスクマネジメントの鉄則
CASE 1 倒れていた老婦人
昨日まで元気だったのに自宅で倒れ,右片麻痺・失語症で
救急車搬送入院となった76歳の女性
CASE 2 頭痛・嘔吐・視覚異常と低ナトリウム血症をきたした授乳中の女性
頭痛・嘔吐・視覚異常で受診した,現在授乳中の34歳の女性
CASE 3 金曜日の夜の酔客
金曜日の夜に病院の救急入口にうずくまっているところを発見され,
病院に運び込まれた,52歳男性
CASE 4 外来検査中に呼吸困難をきたした老婦人
軽い糖尿病以外,特に既往なく,血尿の精査のための膀胱鏡施行中に
突然呼吸困難をきたした78歳女性
CASE 5 不妊治療後に腹部膨満と腹痛をきたした32歳女性
不妊治療を受けてほどなく腹部膨満をきたし,
産婦人科主治医の指示で救急受診した32歳の女性
CASE 6 胸痛をきたしたアフリカ系アメリカ人男性
高速道路を運転中,突然,胸痛で失神しそうになり,
救急車で来院した48歳のアフリカ系アメリカ人男性
CASE 7 せん妄をきたした老婦人
COPDの増悪で緊急入院後,せん妄をきたした76歳の白人女性
CASE 8 複視とふらつきで救急外来受診した42歳女性
いつもどおりの朝食後,物が二重に見え出し,
さらにふらつきと寒気を覚えたため,救急外来を受診した42歳女性
CASE 9 低血糖と高カリウム血症をきたした糖尿病患者
意識障害をきたしているところを隣人に発見され,
救急外来を受診した62歳の男性糖尿病患者
CASE 10 入院中に心肺停止した44歳女性
激しい腹痛,食事の経口摂取困難,粘血便などの症状を
コントロールするための入院中に心肺停止した44歳の女性
CASE 11 体重減少と失神発作の74歳男性
自宅で失神発作を起こし倒れた翌日,かかりつけ医を受診し,
即入院と指示された74歳男性
CASE 12 起き上がれない34歳男性
尻餅をつき,腰痛で動けなくなったため,救急車でERを受診した
34歳の男性
あとがき
索引