書名 |
レジリアンス ―現代精神医学の新しいパラダイム |
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筆頭著者 |
加藤 敏・他編 |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-307-15064-4 |
発行年 |
2009年7月 |
判型 / 頁数 |
A5判 / 242頁 |
分類 |
臨床医学系/精神神経科学/精神医学 |
価格 |
定価4,180円(本体3,800円 税10%) |
二十一世紀の精神医学において期待されるのが、明確な予防・治療的視点を打ち出す「レジリアンスモデル」と言える。このモデルのなによりの特徴は、発病の誘因となる出来事、環境、ひいては病気そのものに抗し、跳ね返し、克服する復元力、あるいは回復力を重視・對重し、発病予防、回復過程、リハビリテーションに正面から取り組む観点を持っていることに求められる。
レジリアンスモデルは、心身複合体としての個人に備わる復元力ないし回復力を引き出すよう心がけ、統合的な観点から柔軟な前向きの仕方で治療にとりくむ理論布置を備えている。そこで、精神科臨床の実践をさらに進めるうえで、今日、「脆弱性モデルからレジリアンスモデルへ」、および「ストレスモデルからレジリアンスモデルへ」という形で、精神医学における治療論、回復論を正面から見据える方向でのパラダイムシフトが要請されている。私たちはこのような認識のもとに、本書を企画した。
本書では、レジリアンスの概念を拡大解釈してその発展的な使用を試み、統合失調症、気分障害などについても、この観点を敷衍して論じることにした。それゆえ、レジリアンスを扱った研究書としては、欧米にはない、わが国独自の著作になると思う。
序
執筆者一覧
【総論】
第1章 現代精神医学におけるレジリアンスの概念の意義
第2章 レジリアンス概念の歴史と現状 -フランス語圏を中心に
第3章 医学哲学からみた発病モデルと回復(レジアンス)モデル -自然治癒力思想の興亡-
【各論】
第1章 PTSDにおけるレジリアンス研究
第2章 うつ病のレジリアンス -内なる回復のリズム-
第3章 うつ病における脆弱性とレジリアンス -その遺伝・生物学的基盤-
第4章 レジリアンスを拓く統合失調症
第5章 レジリアンスモデルに基づく統合失調症の再発予防研究
第6章 脳画像からみた統合失調症の顕在発症防御機構
第7章 レジリアンスの視点からみた統合失調症の臨床生物学的知見
コラム
(1)前青年期の精神保健に関わるレジリアンス・マーカーとしての低心拍数
(2)双極性障害における脆弱性とレジリアンスの神経画像
(3)うつ病者には共通の“resilience mechanism”が存在する
(4)パーソナリティー障害からの回復に関わる小児期・青年期のポジティブな体験
(5)アルコール症に対する防御因子
編者紹介
あとがき
索引