書名 |
アルコール医療ケース・スタディ |
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筆頭著者 |
白倉克之・他編著(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター名誉院長) |
その他著者等 |
他編著者:丸山勝也(独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター院長) |
出版社名 |
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ISBNコード |
ISBN978-4-88002-683-1 |
発行年 |
2008年11月 |
判型 / 頁数 |
B5判 / 168頁 |
分類 |
臨床医学系/精神神経科学/精神医学 |
価格 |
定価4,070円(本体3,700円 税10%) |
(序文より)
平成13年1月、新興医学出版社のご好意により「アルコール医療入門」を発行させていただいた。これはアルコール医療を目指す若い医師や看護師、保健師、精神保健福祉士、医学生ないし看護学生、職場の産業保健やメンタルヘルスに関与する方々、さらには依存症者ご本人ないしその家族の方々などにご理解いただくための適当な入門書が見あたらなかった。そういう意図をふまえた入門書の必要性をかねがね痛感していたので、主に独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター(旧国立久里浜病院)の先生方にお諮りし、平素研修会などで利用するテキスト原稿を基に、ごく短期間のうちに上梓させていただいた。
幸い発刊後の評判も良く、また各種のアルコール医療講習会などのテキストなどにも使用していただくなど多方面で利用していただき、編集に携わった者としては安堵している状況であった。
その後、新興医学出版社より医療入門の姉妹編として具体的な対応を中心としたケーススタデイ編を企画してはとの矢継ぎ早の提案があり、われわれ二人で検討させていただいた結果、新しい試みとして本書の刊行を改めて計画した次第である。
「アルコール医療入門」では紙幅の都合で割愛した部分も多々あり、無論それを補完する意図もあるが、一方では姉妹編として内容面での重複を可能な限り避けること、さらに出来るだけ簡潔にかつわかりやすい記述と図表を多く取り入れて、具体的な症例の取り扱いを中心に構成すること、前書の各項を担当した各執筆者に原稿を依頼するなどを原則とした。その意味では、各症例のケ―ススタデイの形をとったので、現在抱えているアルコール症例を念頭に浮かべながら、前書と併せて参照して利用されると、読者諸氏には一層理解していただけるのではないかと期待している。
厚生労働省が纏めた国民の健康施策である「健康日本21」計画も、今年で8年目に相当し、目下その成果が危惧される状況にある。その目標達成にはわれられ医療・保健・福祉に関与する者がアルコール依存症ないしその関連問題について十分に理解することはいうまでもないが、広く国民一人一人にアルコール問題についての認識を深めていただくことが不可欠といっても過言ではない。
本書を通じて少しでも多くの方々の理解の役にたてば執筆者として望外の幸せである。
1.アルコール依存症とその関連疾患をめぐって
2.アルコール中毒
3.アルコール依存症
A.アルコール依存症診断における基礎事項
B.アルコール依存症と遺伝子
C.アルコール依存症の飲酒量と飲酒期間
D.アルコール離脱症状~早期離脱症状・後期離脱症状および慢性禁断症状~
E.アルコール依存症にみられる社会的な問題
4.アルコール関連疾患
A.アルコール関連疾患診断における基礎事項
B.アルコール性消化管疾患
C.アルコール性肝疾患
D.アルコール性膵疾患
E.アルコール性糖・代謝疾患
F.アルコール性心・循環器疾患
G.アルコール性中枢神経疾患
H.アルコール性末梢神経・筋障害
I.アルコールによる消化管癌
J.歯科領域におけるアルコール関連疾患
5.アルコール関連精神障害
A.異常酩酊
B.アルコール性認知症
C.ウェルニッケ・コルサコフ症候群
D.合併精神障害
6.青年期アルコール依存症
7.高齢者アルコール依存症
8.女性のアルコール依存症
9.胎児性アルコール症候群(FAS)
10.アダルト・チルドレン(AC)
11.アルコール関連疾患の今後の見通し
【症例目次】
イッキ飲みによる急性アルコール中毒の例
アルコール依存症者が大量飲酒をした場合の例
比較的多い飲酒量・長い飲酒期間であった例
飲酒量はやや多いが比較的短い飲酒期間であった例
比較的少ない飲酒量、短い飲酒期間であった例
早期離脱症状の激しい例
入院のたびに激しい精神運動興奮を呈するDT(振戦せん妄)の例
アルコールてんかんからDT(振戦せん妄)移行を繰り返した例
飲酒がらみの障害事件を呈した例
家族内における飲酒問題の被害をこうむった例
Mallory-Weiss症候群の例
逆流性食道炎の例
カンジタ食道炎の例
剥離性食道炎の例
食道・胃静脈瘤の例
AGML(急性胃粘膜病変)の例
胃潰瘍の1例
消化管運動・消化吸収能低下の例
大腸腺腫の1例
アルコール性脂肪肝の例
アルコール性肝炎の例
アルコール性肝線維症の例
アルコール性肝硬変の例
膵石を伴うアルコール性慢性膵炎、糖尿病の例
膵石を伴わないアルコール性慢性膵炎の例
連続飲酒発作後にアルコール性低血糖・ケトアシドーシスを合併した例
入院後に急性痛風性関節炎を発症した肥満・糖尿病・脂肪肝合併プレアルコホリックの例
慢性膵炎・二次性糖尿病に末梢・自律神経障害を合併した例
アルコール性心筋症の例
飲酒により冠れん縮性狭心症が誘発された例
泥酔した患者に認めた脳出血の例
多量飲酒者に認めた脳萎縮とその回復がみられた例
多量飲酒者に認めた脳幹部の脱髄巣の例
アルコール性ポリニューロパチー(低栄養あり)の例
アルコール性ポリニューロパチー(低栄養なし)の例
慢性アルコール性ミオパチーの例
飲酒で赤くなる体質と発癌(食道癌)をきたした例
胃切除後アルコール依存症をきたし食道癌が見つかった例
末期的状態を呈している1例(口腔状況からみて)
アルコール依存症者に出現する典型的症状を有する1例(口腔状況からみて)
義歯装着前後を示す例)
アルコール依存症初期の口腔内状況を推察する1例
飲酒がらみの傷害事件を呈した1例
新婚早々に家庭内暴力に至った夫婦の例
アルコール性認知症と考えられる例
ウェルニッケ脳症からコルサコフ症候群に移行し、症状が固定化した例
ウェルニッケ脳症の段階でチアミンを投与し、回復した女性の例
ウェルニッケ脳症の徴候を欠くコルサコフ症候群が半年かけて徐々に回復した例
アルコール症と摂食障害のcomorbidity
アルコール症と統合失調症のcomorbidity
アルコール症とうつ病のcomorbidity
ADHD(注意欠陥多動性障害)にアルコールと薬物乱用が合併した例
アダルトチャイルドのヤングアルコール依存症の例
過食症にアルコール依存が合併した女性の例
若年で発症し高齢になって顕在化した例(男性)
高齢発症の例(男性)
若年発症の例(男性)
女性高齢発症の例
女性若年発症、高齢顕在化の例
女性若年発症の例
平凡な主婦がストレスによりアルコール症を発症した例
大酒家の社会人女性から発症した例
統合失調症加療中にアルコール症を発症した例
飲酒妊婦の子宮内胎児死亡
FAS(胎児性アルコール症候群)の疑いのみられた例
FAE(胎児性アルコール効果)の疑いのみられた例
家族介入前の娘の思いを大切に関わったACの例
アルコール依存症のACに対する援助を行った例