書名 |
臨床から病理へ ―剖検症例から学ぶ膠原病 |
---|---|
筆頭著者 |
橋本博史・他監(順天堂大学附属順天堂越谷病院院長,順天堂大学名誉教授) |
その他著者等 |
他監修者:須田耕一、樋野興夫 編集者:松本俊治、廣瀬幸子、小林茂人、田村直人 |
出版社名 |
|
ISBNコード |
ISBN978-4-88002-644-2 |
発行年 |
2005年5月 |
判型 / 頁数 |
B5判 / 112頁 |
分類 |
臨床医学系/免疫・アレルギー・膠原病 |
価格 |
定価5,500円(本体5,000円 税10%) |
(橋本博史先生「発刊にあたって」より抜粋)
順天堂大学膠原病内科学教室では,膠原病で亡くなられ剖検された症例を平成15年よりModern Physician(新興医学出版社)に連載いたしました.この本は,それらを一冊にまとめたものです.また,当教室では,昭和63年に現名誉教授の塩川優一先生の御退職記念事業の一環としてそれまでの膠原病剖検症例をまとめ金原出版より「膠原病 臨床から病理への展開」と題し著書を発刊しています.この本は,その続編ともいえます.
当教室は,昭和44年に塩川先生によって日本ではじめて膠原病内科を標榜した講座ですが,当時は比較的稀とされた膠原病の患者様も数多く受診されていました.生命予後は必ずしも良好とはいえず,不幸な転帰をとられる方も少なくなく,剖検させていただいた症例はほぼすべて症例報告の対象となっていました.最近では,診断技術の進歩と治療法の発達により予後良好で慢性に経過する疾患へと変貌し,剖検する機会も減少する傾向にあります.また,治療や加齢による修飾により必ずしも膠原病の古典的な病理所見がみられるわけではなく,診断技術の進歩による生前の病態診断もある程度可能となり,剖検すること自体の有用性も薄れてきているようにも思います.しかしながら,いつの時代においても,剖検された膠原病の症例を通して学び得たことに計り知れないものがあります.膠原病の予後の改善がみられるものの,重篤で難治性病態により亡くなられた方の剖検例を病理組織学的な解析を加え記録に留めておくことは極めて重要と思われます.これは膠原病とその病態を理解する上で必須であるからです.巻末に,順天堂大学に於ける当教室の剖検例数の年代別推移を示しましたが,全体的に剖検数の減少がみられるものの,その中にあって膠原病の占める割合が高い傾向にあることがわかります.
●関節リウマチ
急速に進行し治療に抵抗性であった肺炎を伴った関節リウマチの一例
全身性アミロイドーシスの合併を認めた関節リウマチの一例
抗リン脂質抗体症候群を伴った関節リウマチの一例
ニューモシスチス肺炎を契機に急性呼吸促迫症候群を併発した間質性肺炎合併関節リウマチの一例
●全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデスに進行性多発性白質脳症(PML)を合併した一例
多臓器病変をきたした抗リン脂質抗体症候群を伴う全身性エリテマトーデスの一例
メチシリン耐性ブドウ球菌による腸腰筋膿瘍で死亡した全身性エリテマトーデスの一例
全身性エリテマトーデスに血栓性血小板減少性紫斑病を合併した一例
難治性血小板減少および急性ループス肺臓炎を伴った全身性エリテマトーデスの一例
肺高血圧症の急性増悪を認めた全身性エリテマトーデスの一例
リステリア脳髄膜炎により死亡した全身性エリテマトーデスの一例
直腸膀胱瘻を生じた全身性エリテマトーデスの一例
全身性および中枢神経血管炎を認めた抗リン脂質抗体症候群合併全身性エリテマトーデスの一例
高齢で発症した全身性エリテマトーデスの一例○全身性硬化症
ANCA 関連血管炎を合併した全身性硬化症の一例
CREST 症候群に原発性胆汁性硬化症を合併した一例
●多発性筋炎・皮膚筋炎
難治性急速進行性間質性肺炎を合併した amyopathic dermatomyositis の一例
間質性肺炎増悪に播種性血管内凝固症候群を伴い死亡した皮膚筋炎の一例
急性呼吸促迫症候群を併発した皮膚筋炎の一例
●混合性結合組織病
心筋炎および自己免疫性膵炎を認めた混合性結合組織病の一例
巨大血栓の僧帽弁嵌頓により死亡した混合性結合組織病の一例
進行性の心筋障害を認めた混合性結合組織病の一例
●オーバーラップ症侯群
難治性ループス腎炎に真菌感染症を併発したオーバーラップ症候群の一例
間質性肺炎が急速に進行した皮膚筋炎と全身性エリテマトーデスのオーバーラップ症候群の一例
間質性肺炎を伴った全身性硬化症と皮膚筋炎のオーバーラップ症候群の一例
難治性で進行性の消化管機能不全を認めたオーバーラップ症候群の一例
●血管炎症候群
治療抵抗性であった Wegener 肉芽腫症の一例
肥厚性硬膜炎を伴った Wegener 肉芽腫症の一例
抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)高値陽性で顕微鏡的多発血管炎との鑑別が困難であった結節性多発動脈炎の一例
免疫抑制療法により頻回な感染症をきたした顕微鏡的多発血管炎の一例
肺血栓塞栓症を発症し急速な経過をたどった結節性多発動脈炎の一例
膜性増殖性糸球体腎炎を認めた C 型肝炎ウイルスによるクリオグロブリン性血管炎の一例
●その他
Weber-Christian 病と診断され,多発する血栓症と腎障害・高血圧を認め,剖検で壊死性血管炎を認めた一例
血小板減少,ネフローゼ症候群を認め,Castleman 病を合併したシェーグレン症候群の一例
付・膠原病剖検例数の年代別推移