出版物の無許諾複製についての見解
2011年4月15日
一般社団法人 日本医書出版協会
最近,書籍・雑誌等の出版物を無断で複製する行為、とりわけスキャンしてデジタルデータ化する行為(いわゆる「自炊」)が広く行われています。大学・研究所・病院等の機関や一般企業においても、所有する出版物を複写、あるいはデジタルデータ化し、さらに施設内でデータを共有するという事例も散見されています。また、「自炊」を業務として請け負う業者、「自炊」のためのスペースや機器などを有料で提供する業者さえ現れています。
しかし、当協会の加盟社が発行する出版物を無許諾で複写したり、「自炊」したりする行為は、そのほとんどが著作権法上違法な複製に該当すると当協会では考えています。
当協会は、著作者ならびに出版者(社)の権利を侵害するおそれのあるこれらの無許諾複写や「自炊」行為に対し,警鐘を鳴らすとともに、強く抗議の意を表明するものです。
著作権法第30条は、複製行為(コピー・スキャン・デジタルデータ化など)のうち、個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的で、その使用する者自ら複製する場合には、著作権者の許諾を受けることなく複製し得ることを認めています。しかしながら、大学・研究所・病院等の機関や一般企業において、業務上使用する目的(診療や研究活動を含む)で複製する場合には、たとえ前記の限られた範囲内において使用する目的であったとしても、私的使用には該当せず、違法である疑いが濃厚です。
また, たとえ私的使用に該当する場合であっても、代行業者等の第三者に依頼してこれらの行為を行うことは違法の可能性が高いと解されます。このような違法「自炊」行為について、現行法においても解釈上認められるとの主張が一部でなされておりますが、仮にこのような「自炊」行為が認められるとするならば、許諾を得ての利用や対価を支払った上での利用といった著作物の通常の利用が妨げられ、著作権者の正当な権利や利益が不当に損なわれることになるのは明らかであり、著作権に関する国際条約であるベルヌ条約パリ改正条約にも抵触するものです。
なお, 「自炊」のためのスペースや機器を有料で提供している業者についても、その管理支配下での提供であることに加え、その営業行為によって利益を得ていることから、複製行為の主体とみなすことができ、著作権法第30条の要件である「使用する者自らが行う場合」には該当しないため、違法である可能性が高いと解されます。なお、大学・研究所・病院等において、デジタル化したデータを複数人で共有する行為は、自ら行うか業者を使うかにかかわらず、明らかに私的使用の範囲を逸脱した違法行為といえます。
関係各位におかれましては、上記についての当協会の見解にご理解とご賛同をいただき、違法な複製行為の防止に向けて、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。